英Skyflyが、2人乗りの空飛ぶクルマ「Axe」を、ヨットオーナー層に向けて売り込む。10月末からフロリダで開かれる国際ボートショー(FLIBS)に出展する予定だ。
これまで本メディアで取り上げてきたJobyやArcher、SkyDriveは、いずれも「エアタクシー」——つまり不特定多数を運ぶ商用サービスを目指している。だがAxeは「個人が所有して自分で飛ばす乗り物」であり、しかも販売形態はキット機(購入者が組み立てる機体)だ。
価格について、今回の元記事には記載がない。ただ別の報道(Robb Report)によれば、本体はおよそ15万ポンド(約2,800万円)とされる。これに加え、航続を伸ばす発電機(約5万8,000ドル)や予備バッテリー、緊急用パラシュートなどがオプションとして別売りされる、という情報もある。いずれも最終的な販売価格は変動しうるため、参考値として捉えたい。
「ヨットの足」としての空飛ぶクルマ
Skyflyが狙うのは、ヨットやスーパーヨットの所有者だ。彼らは、マリーナと船、そして陸の目的地のあいだを移動する必要がある。Axeは滑走路を必要とせず垂直に離着陸できるため、マリーナ、プライベートな桟橋、海沿いの邸宅、さらにはスーパーヨットの甲板からも発着できる、というのがSkyflyの売り文句だ。
高級ヨットの世界では、船に小型ヘリコプターを積むことも珍しくない。Axeは、その電動・省コスト版という位置づけに近い。Skyflyによれば、運用コストは1飛行時間あたり約90ドル(約1万3,000円)。参考までに、代表的な小型ヘリであるロビンソンR44の直接運用コストは1時間あたり300〜500ドルとされており、単純比較はできないものの、桁として安いのは確かだ(ただしAxeはバッテリー交換などの費用が別途かかる点に注意)。
技術的な特徴:翼で飛ぶ
Axeの機体構成は、8基の固定角モーターで垂直に浮き上がり、固定翼で前に進む、というものだ。モーターを傾けたり翼を回転させたりする複雑な機構はない。航続距離は100マイル(約160km)超、飛行時間は60〜90分、巡航速度は時速100マイル(約160km)、積載量は200kg。滑走路がある場所では、通常の飛行機のように滑走離着陸もできる。
Skyflyは、翼を持たない「ローターだけ」の個人用eVTOLは、巡航時に最大4倍のエネルギーを使うと主張する。翼で揚力を得るぶん、電力を節約できる、という理屈だ。本メディアで以前、SkyDriveの「翼かマルチローターか」という設計思想を取り上げたが、Axeは明確に「翼」を選んでいる。
制度:ライト・スポーツ機という扱い
アメリカではAxeは、FAA(連邦航空局)の更新されたライト・スポーツ機(LSA)のルールのもとで、2人乗りの電動機として分類される見込みだ。この枠に入ると、パイロット資格の要件が簡素化される。つまり、本格的な事業用ライセンスがなくても操縦しやすくなる、ということだ。最初の納入は2027年を予定している。
本文の円換算は1ドル=150円、1ポンド=190円で計算。
